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今際の淵ならば火を

血潮ばかり花のように幽し
ゆえに杜若を呑む
沈黙を着飾っておこう
生者の葬列にどうか喝采
春宵のまだきに囀り
馬鹿みたいに抜歯してくれ
さながら隘路を憂うひと
死なば曇天にまつろえ

屑に粧すなかれ

たとえば見殺しの形相
獣性はがして美しくないから
五臓で孵化するうばらよ
おまえの亡骸に綻んでいたい
残酷を食まねばならぬ
まだ冷血が疼いてくれない
種子なんぞ燃やせ果てさえも
児戯など秘めなくていい

美しき斜陽もろとも

化生だけ遺していきなさい
既存あるいは疑似もしくは優劣
だれもかれも科白を欲しがる
阿修羅のかばねを讃えるな
神様づらで蜃気楼になりたい
てのひらに黄昏落つ
不平等にかかずらってろ
心臓に刺繍しないで爛れたくない

sozai / no image
written by yoru_ni_aou

2021.12.10

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